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【とっておきシネマ】日本映画『銀河鉄道の父』

金曜の夜9時からおおくりしている「とっておきシネマ」の鳥飼美紀です。

今週は、世界中で愛されている作家宮沢賢治とその父、そして家族の物語『銀河鉄道の父』をご紹介しました。
何があっても信じ合い、助け合い、互いに味方であり続ける家族の強い想いに、心を揺さぶられる希望の物語です。
5月5日(金)から全国公開、イオンシネマ三田ウッディタウンでも上映されます! ぜひ劇場でご覧ください。

©2022「銀河鉄道の父」製作委員会

【STORY】
質屋を営む裕福な宮沢家の長男に生まれた賢治は、跡取りとして大事に育てられる。
しかし、家業を「弱い者いじめ」だと断固として拒み、農業や人造宝石や宗教に夢中になって、父・政次郎と母・イチを振り回す。
そんな中、賢治の一番の理解者である妹のトシが、当時は不治の病だった結核に倒れ、賢治はトシを励ますために一心不乱に物語を書き続け読み聞かせる。
だが、願いは叶わず、みぞれの降る日にトシは旅立ってしまう。
「トシがいなければ何も書けない」と慟哭する賢治に、「私が宮沢賢治の一番の読者になる!」と、再び筆を執らせたのは父親の政次郎だった。
「物語は自分の子供だ」と言う賢治に、「それなら、お父さんの孫だ。大好きで当たり前だ」と励ます政次郎。
だが、ようやく道を見つけた賢治にトシと同じ運命が降りかかる──。

©2022「銀河鉄道の父」製作委員会

【REVIEW】
「おめぇは、父でありすぎる」これは、宮沢賢治の父・政次郎のそのまた父・喜助の言葉だ。
というのは……宮沢家の長男として生まれた賢治は、大切に大切に育てられるが、小学校入学前に赤痢にかかり入院する。
父親の政次郎は「賢治の世話は私がする」と宣言して、母親のイチを差し置いて病院に付き添い看病する。
やがて賢治は全快し、入れ替わりに政次郎が腸カタルで入院することになってしまうが、それでも息子の回復を喜んでいる政次郎。
そんな政次郎に対する喜助の「父でありすぎる」という言葉は心に残る。

©2022「銀河鉄道の父」製作委員会

原作は、第 158 回直木賞を受賞した門井慶喜の「銀河鉄道の父」(2018年)。
「宮沢賢治はダメ息子だった!」という大胆な視点から、その父親をこれまでの厳格な人物というイメージとは違う視点で描いた傑作小説だ。
時代は宮沢賢治が誕生した明治 29 年から始まる約40 年間で、舞台は岩手県の花巻。
時代考証とリサーチを重ね、賢治の生家や執筆と畑仕事に励んだ“桜の家”を蘇らせた。
また、「春と修羅」「注文の多い料理店」の初版本も忠実に再現され、宮沢賢治の愛読者には心躍る映像となっている。

©2022「銀河鉄道の父」製作委員会

「これからの世の中に何が必要か、わかっている新しい父親」であろうとした政次郎。
彼は、賢治だけではなく妹や弟にとっても良き父親として描かれている。
成島監督は「あの時代に賢治のすべてを受け入れ、ある意味イクメンのハシリ、かつ親バカで一生懸命なところがチャーミングだ」と語る。
「賢治と家族の格闘ぶりも面白く、この父と家族を、映画で僕がまず見たいと思った」とか。
私も原作の最初の数ページを読んだだけで、政次郎の子へのあふれる愛情を感じ、グングン物語の中へ引きずり込まれた。
長男である賢治にあれやこれやと振り回されるものの、最後まで息子を信じ、愛し抜く……誰もがこの父親を好きになるのではないだろうか?

©2022「銀河鉄道の父」製作委員会

天下一品の親バカぶりが本当にチャーミングな父親・政次郎を役所広司、そして親を振り回す息子の賢治を菅田将暉が演じている。
この2人のスケジュールが合うまで成島監督は数年待ったと打ち明けているが、待った甲斐は確かにある“無敵の親子”だ。
さらに妹トシを森七菜、弟は豊田裕大、一歩引いた母親を坂井真紀、祖父の喜助は田中泯という、それぞれぴったりハマった見事なキャスティング。
子に先立たれる政次郎が、誰もが知る「雨ニモマケズ」を暗誦するするシーンでは、感動以上の何かがあなたの心にこみあげてくるだろう。
GWの後半、ぜひ劇場に足を運んでご覧いただきたいオススメ映画である。

原作:門井慶喜「銀河鉄道の父」(講談社文庫)
監督:成島出
出演:役所広司 菅田将暉 森七菜 豊田裕大 池谷のぶえ 水澤紳吾 益岡 徹 坂井真紀 田中泯
2023年製作/128分/日本/配給:キノフィルムズ
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(映画創造活動支援事業)独立行政法人日本芸術文化振興会
Twitter:@Ginga_Movie2023 https://ginga-movie.com/
5月5日(金・祝)全国公開
関西では、TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズ西宮OS、そしてイオンシネマ三田WTなど。

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