毎週金曜日に配信、「とっておきシネマ」の鳥飼美紀です。
今回は、スウェーデン語が何とも可愛い主人公エッラが巻き起こす、いたずら感動ストーリー『リトル・エッラ』をご紹介します。4月5日(金)より全国順次公開中です。
~鳥飼美紀のシネマエッセイ~
フォーチュンクッキーをご存じだろうか? 某女性アイドルグループの歌うあの曲そのものではなく、その歌の中に出てくるお菓子のことである。餃子を二つ折りにしたような形のココナッツ風味のクッキーで、真ん中を割るとおみくじが出てくる楽しいお菓子。アメリカの中華料理店で出されていたというから中国が発祥かと思っていたけれど、実は日本の北陸地方に伝わる“辻占煎餅”が起源という説が有力らしい。随分前に、職場の送別会で同僚たちと♪フォーチュンクッキーを踊りながら、そのクッキーを会場全員に配ったことがある。老いも若きも配られたクッキーを割って、どんな占いが出たかで大いに盛り上がっていた。
映画『リトル・エッラ』の舞台はスウェーデン。人と仲良くするのが得意でない主人公のエッラは、ある日おじさんであり親友でもあるトミーと日本料理店に出かける。出されたプレートにはハロウィン風の飾りつけをしたサーモンの寿司。給仕の男性からフォーチュンクッキーを受け取るエッラ。その自然なやりとりを見ると、フォーチュンクッキーは北欧でもよく知られているようだ。エッラが受け取ったクッキーを割ると「友とは、人生の庭に咲く花である」と書かれた紙が出てくる。おみくじというより名言やことわざの類だろうか? 深く頷ける言葉だ。友とは、たとえその数は少なくても人生に彩りを与えてくれる大切な存在だ。エッラは「私の花はトミーだけでいい」とつぶやく。ところが、そのたった一つの花を誰かにとられそうな予感のする出来事が起こる。何としてもその花を手放したくないエッラは、さてどんな行動に出るのか……。
原作は国内外で高い人気を誇るスウェーデン出身の絵本作家ピア・リンデンバウムの『リトルズラタンと大好きなおじさん(未訳)』。まさに絵本の中から飛び出してきたような可愛いエッラ。彼女の話すスウェーデン語もさらに可愛い。でも、その振る舞いはなかなかの悪魔っぷり……なのだ。
人と仲良くするのが苦手なエッラが、唯一仲良くできるのは、おじさんで“永遠の親友”であるトミーだけ。両親が休暇で出かけている間、トミーと過ごすのを楽しみにしていたエッラだったが、オランダからトミーの恋人スティーブがやってきて、夢の1週間は悪夢へと変わる。親友を取り戻したいエッラは転校生オットーの力を借りてスティーブを追い出すための作戦に出るのだが…。
監督:クリスティアン・ロー
出演:アグネス・コリアンデル、シーモン・J・ベリエル、ティボール・ルーカス 他
スウェーデン・ノルウェー|2022|81 分|カラー|スウェーデン語・英語|配給:カルチュアルライフ
© 2022 Snowcloud Films AB & Filmbin AS
https://culturallife.co.jp/little-ella/
2024年4月5日(金)より全国順次ロードショー中
映画『リトル・エッラ』挿入歌 ♪ You & Me Song / The Wannadies
【とっておきシネマ】
ハニーFMポッドキャストで配信しています。(再生ボタン▶を押すと番組が始まります)