みなさま「おばんです」山形県出身の内藤美保がお送りする「きてみで(来てみて)東北」。
この番組は東北各地の紹介と、東北弁で語る民話をお届けしています。
今日紹介する東北の話題は、山形県酒田市の「山王くらぶ」で2月26日から11月3日まで行われている「湊町酒田の傘福」です。
傘福というのは傘の下に幕をめぐらせて手作りの布製の雛飾りを吊るしたものです。
酒田の傘福は静岡県稲取の「雛のつるし飾り」、福岡県柳川の「さげもん」と並び、日本三大つるし飾りの一つに数えられています。
「山王くらぶ」は、明治28年建築の料亭を使用した博物館で、料亭文化、酒田の歴史などを広く紹介する施設として2003年に国の登録有形文化財になりました。
1階には竹久夢二が酒田滞在中に愛用した「夢二の間」や松尾芭蕉をはじめ、
酒田を訪れた数多くの文人墨客の詩歌や紀行文、絵などが展示されている「文人墨客(ぶんじんぼっかく)の間」などの7つの間があり、
2階は襖仕切りを外した106畳の大広間に辻村寿三郎の作品「さかたの雛遊び」が常設展示され、期間中は傘福の展示も行われています。
「傘福」の雛飾りの飾り物は約百種類もあり、一つ一つに思いを込めて縫いこまれています。
例えば「ねずみ」の飾りは子孫繁栄を、赤い「さるっ子」は災いが「去る」ようにという魔除けとして、「おくるみ人形」は、子どもの健やかな成長を願って作成されています。
飾りが吊るされる傘は大きいもので直径2mもありひとつの「傘福」に999個の飾りが吊るされているそうです。
一本の紐につるす飾りの数は縁起を考えて割れない数字「奇数」と決まっています。
今年の新作をはじめとして、会場は1万個近い手作りの吊るし飾りで埋め尽くされます。
また、4月2日まで酒田市の旧家加藤家のお雛様も飾られています。
江戸時代後期の古今雛で、とても大きく目は玉眼ガラス玉で豊かな表情をしています。
「山王くらぶ」の他にも毎年3月1日~4月3日の約1ヶ月間にわたり開催される「酒田雛街道」のイベントでは、
市内の旧豪商の邸宅や飲食店、美術館などの施設で、歴史ある「雛人形」や「傘福」が一斉に展示されます。
飲食店ではこの期間しか食べられない雛料理やスイーツを提供するお店もあり、酒田の街全体が雛祭りのムードで盛り上がります。
今回は山形県酒田市の「山王くらぶ」で2月26日から11月3日まで行われている「湊町酒田の傘福」を紹介しました。
ではここから、東北弁で語る民話をお送りします。今回は山形県で語られていた民話「絵姿女房」です。
お話の中に出てくる
「何かえさんなね」は「何だかんだとしなければならない」
「なぜすんべ」は「どうしたもんだろう」
「側女(そばめ)」は「本妻以外の妻」
「ござっしゃい」は「いらっしゃい」
「ほだえ」は「そんなに」という意味です。