みなさま「おばんです」山形県出身の内藤美保がお送りする「きてみで(来てみて)東北」。この番組は東北各地の紹介と、東北弁で語る民話をお届けしています。
さて、今回は秋田県の田沢湖を紹介しましょう。秋田県の中東部に位置する仙北(せんぼく)市にある「田沢湖」は、直径約6kmの淡水湖です。
その昔、火山爆発により形成され、大陥没によって生まれたカルデラ湖といわれています。
水深は最大で423.4mもあり、日本で最も深い湖としても有名です。
湖が深いと夏場にたくさんの熱が水中に貯まるため、秋田の厳冬下でも湖が凍ることはありません。
ペルシャンブルーに輝く湖面は神秘的で独特の存在感を放つとあって、その光景を一目見ようと多くの観光客が訪れます。
田沢湖のシンボルとして、永遠の若さと美貌を願い、湖の神となったと伝えられる「たつこ姫」の金色に輝くブロンズ像も有名です。
ここで「たつこ姫」の伝説をお話ししましょう。その昔、この地には「たつこ」という美しい村娘がいました。
その美貌と若さを永久に保ちたいと、村の背後にそびえる「院内岳(いんないだけ)」の大蔵観音に願うと、「北に湧く泉の水を飲みなさい」とお告げがあったそうです。
言われるままに泉の水を飲み続けると、滝のように激しい雨とともに山は崩れ、現在の田沢湖が誕生。
「たつこ」は気がつけば大きな龍になり、「たつこ姫」と呼ばれる田沢湖の湖の神になったと伝えられています。
田沢湖観光におすすめの遊覧船は約40分かけて田沢湖畔を一周する高速船。
湖はとても穏やかで揺れないため、船酔いしやすい人でも大丈夫です。
船内には音声ガイドが流れていて、田沢湖の見所や船で立ち寄るスポットの豆知識などを教えてくれます。
そして人気の観光スポット「御座石(ござのいし)神社」は「たつこ」の伝説が残る神社です。
そのため、美の守護神の神社としてご利益は美貌成就、不老長寿と、女性には魅力的なパワースポットとして注目を集めています。
御座石神社という社名は、秋田藩主佐竹義隆公が田沢湖を遊覧した時に、腰をかけて休んだことに由来します。
朱塗りの鳥居のそばには、一本の木から七種類の木が生えた「七色木」や、たつこが飲んで龍となった「潟頭の霊泉」、たつこが姿を映した「鏡石」などの名所もあります。
田沢湖の青い湖畔に朱色の鳥居がそっと佇んでいる姿が神秘的です。
また、湖畔の人気レストラン「ORAE(おらえ)」は地元産の野菜にこだわった欧風料理と、蔵出しの手造りビールが自慢のお店です。
「おらえ」とは秋田弁で「私の家」という意味で、「いつでもいらしてください」というメッセージが込められているそうです。
全席から田沢湖を見渡せる開放感の中でおいしい料理と最高のビールが堪能できます。
他にも「みそたんぽ」発祥の食事処「たつこ茶屋」があります。
「みそたんぽ」というのは半練りにしたご飯を棒に巻きつけて、味噌ダレを塗って焼いたものです。自家製いぶりがっこがついて400円です。
今回は秋田県の田沢湖を紹介しました。
ではここから、東北弁で語る民話をお送りします。
今回は秋田県で語られていた民話「山の神」です。
お話に出てくる「地(じ)にもぐらねば」は「かくれなければ」、「なんとやる」は「どうするのか」、「長押(なげし)」は「柱の上の横木」という意味です。