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【鳥飼美紀のとっておきシネマ】韓国映画『BOSS/ボス』

今週は、ギャング組織の後継者争いというモチーフを大逆転させて描いた韓国映画『BOSS/ボス』をご紹介します。まったくやる気の無い2人がボスの座を譲り合い、やる気はあるのに誰からも支持されない1人が独り相撲するというコメディ。韓国では、年間興行収入5位となる244万人動員の大ヒットを記録した作品です。

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 シネマエッセイ 
“笑い”というのは人によって好みが様々である。ストレートなドタバタが好きな人もいれば、ブラックユーモアやパロディが好きな人もいる。私はどちらかというと、大笑いするものより、ニンマリと鼻で笑うようなコメディがお気に入り。

先日、三田で活動する「劇団やる気」のお芝居を初めて観る機会があった。2人ずつの俳優が3つのシュチエーションを描く。アパートの隣室に24時間受付の電話相談室が開設されてイラつく女性や、母親が消防車を購入してしまい激怒する娘、子どもの担任教師との会話が噛み合わず熱くなる母親など、どんどん感情がエスカレートしていく笑いだ。オーバーアクションに頼らない会話劇。これは私好みで大いにニンマリさせてもらった。お芝居は泣かせるより笑わせる方が難しいと聞く。中途半端では物足りず、やりすぎは逆効果ということもあり、その匙加減は微妙である。

さて、映画『BOSS/ボス』ではギャングのボスの後継者選びが描かれる。やる気のない本命と興味のない対抗馬がボスの座を譲り合い……というか押し付け合い、そしてやる気マンマンなのに誰からも支持されないポンコツ武闘派が加わってドタバタを繰り広げる。政治家を志したなら誰でも「総理大臣」を目指すと言われるように、ヤクザの組織に入ったら誰もが「親分」になりたいと思うのが当たり前……という概念を覆すシュチエーションが、まずもって面白い。財政難に陥った組織のトップになって責任を負わされるより、自分らしい人生を送りたいと思う。ギャングでもそんな風に考えるのが今の社会……そんなブラックユーモア作品なのだ。ドタバタ加減も抗争シーンも絶妙な匙加減で、観る者をうんざりさせたり怖がらせたりしない。観終わって「あ~面白かった」と、サクッと席を立てるこの娯楽映画は後味サッパリである。

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 ストーリー  
ギャングのカリスマボスを支え、組織のために抗争を生き抜いてきた3人の男たち。ボスが不慮の死を迎え、後継者候補となった3人。本命のスンテは得意の料理で全国制覇を目指し、やる気ゼロ。対抗馬のガンピョは社交ダンスに天啓を受けてタンゴダンサーを目指し、興味ゼロ。唯一、やる気満々のパノは人望ゼロだった!次期ボスの座を巡る混迷が極まる中、組織に潜入したものの身元バレバレのダメ警官も巻き込み、前代未聞の後継者譲り合い合戦が始まる!

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監督:ラ・ヒチャン
出演:チョ・ウジン チョン・ギョンホ パク・ジファン イ・ギュヒョン ファンウ スルヘ オ・ダルス イ・ソンミン
2025年/韓国/98分
配給:日活/KDDI
https://boss-movie.jp/
10月23日(金)TOHOシネマズ 日比谷他 全国ロードショー

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