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【とっておきシネマ】日本映画『とんび』

毎週金曜日、夜9時からおおくりしている最新映画情報番組「とっておきシネマ」の鳥飼美紀です。
桜満開の三田ですね。
ウッディタウン平谷川沿いの遊歩道には、いつもより多くの人々が散歩やウォ-キングを楽しんでいます。
もちろん手にはスマホやカメラを持って……。
私も桜並木をバックに愛犬を激写しました~。

さて、今週ご紹介したとっておきの映画は、『とんび』という親子の絆を描いた物語です。
原作は直木賞作家の重松清さんの同名小説で、過去に2回テレビドラマ化はされているものの、映画化は今回が初ということですよ。

© 2022「とんび」製作委員会

【STORY】
昭和37年、瀬戸内海に面した備後市。
運送業者で働く不器用な男・ヤスは、愛する妻・美佐子との間にアキラという息子を授かる。
幼い頃に両親と離別したヤスにとって、“家族”というものは何よりの憧れだった。
そんなヤスがようやく手にした幸せは、妻の事故死によって脆くも打ち砕かれる。
悲しみに沈むヤスだったが、人情に厚い町の人々に叱咤激励され、彼らの温かな手を借りてアキラを育ててゆく。
時は流れ、高校3年生になったアキラは、東京の大学を目指し合格し、上京することになる。
だが、別居の寂しさを素直に伝えられないヤスは、「一人前になるまで帰って来るな!」とアキラを突き放す。
そして昭和63年、久々に再会したヤスと大人になったアキラだったが──。

© 2022「とんび」製作委員会

【REVIEW】
物語は2つの時間軸が交互に描かれていく。
1つは、ヤスが仕事がらみで上京する昭和63年のある1日。
そしてもう1つは、昭和37年にアキラが生まれてから大人になるまでの長い歳月。
ヤスが東京で過ごす1日は、彼にとって過去と未来をつなぐ大切な日になり、さらに原作にはないその後の家族も描かれている。
昭和のヒット曲に「四季の歌」という歌があるが、その中に「心強き人 岩をくだく波のような ぼくの父親」というフレーズがある。
この物語の舞台は瀬戸内だから岩を砕く波というイメージはないが、ヤスが目指した父親像というのはアキラにとって海のように広く大きな存在なのだ。
それをヤスが決意させられる冬の海辺のシーンは、この作品の見どころの1つである。

© 2022「とんび」製作委員会

アキラが幼い時に、ヤスの妻(アキラの母)はある事故で亡くなってしまうが、その死の真相はアキラには秘密にされている。
事情を知る周囲の人々は、ヤスを支えながらアキラを大切に見守り、ともにアキラを育ててくれるのだ。
昭和の人々の良き心根や理屈無しの善意を、懐かしくもほのぼのと思い出させてくれる作品である。
ヤス親子の物語ではあるが、ヤスの仲間たちが昼となく夜となく集まる小料理屋「夕なぎ」の女将妙子にも注目してほしい。
妙子はヤスの姉代わりの女性で、ヤスの息子アキラをわが子のように育ててくれている。
実は、妙子にはあるせつない過去があり、それもしっかり描かれていて、しかも妙子役の薬師丸ひろ子さんの演技が文句なしの一級品なのだ。

© 2022「とんび」製作委員会

もちろん主演の阿部寛さんの演技も、深い愛情に満ち溢れ、不器用な男の駆け引きのない生き方をストレートに表現している。
そんな豪華キャストが演じる昭和なファミリーヒストリー……いつの世も変わることのない親子の絆を描いたこの作品に多くの人が涙することだろう。
「泣くこと」は「笑うこと」よりも、遥かに大きなストレス解消効果があるとか……。
この作品を観て健全な感動の涙を流し、また明日からの日々を生き生きと過ごしていけたらと思う。

監督:瀬々敬久
原作:重松清『とんび』(角川文庫)
出演:阿部寛 北村匠 杏 安田顕 大島優子 薬師丸ひろ子など
2022年/日本/139分/配給:KADOKAWA イオンエンターテイメント
https://movies.kadokawa.co.jp/tonbi/
4月8日(金)から全国ロードショー
関西では、TOHOシネマズ梅田 OSシネマズミント神戸 TOHOシネマズ西宮OS イオンシネマ三田WTなどで上映

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