鳥飼美紀が、金曜の夜９時からお送りしている最新シネマ情報番組「とっておきシネマ」。
今週は、アメリカ映画『アバウト・ライフ 幸せの選択肢』をご紹介しました。
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～鳥飼美紀のシネマエッセイ～
まだ10代の頃、デートと言えば映画だった。
ほかに選択肢はなかったと思う。
初めて異性と映画を観に行った時は中学生だったので、2人きりでは間が持たないと部活の後輩を誘って3人で出かけた。
10代後半になると、友人と2人で雑誌や新聞に掲載されている試写会にハガキで応募し、毎週のように観ていた。
そして大人になって、いつのまにか映画は１人で観るのが心地よくなったように思う。
誰かと行こうとなると、まず作品選びに悩む。
2人の好みが一致すればいいけれど、片やラブストーリー、片やホラー、なんていう場合はどちらかが2時間の苦痛を我慢しなければならない。
それに、観ている途中に隣からため息やあくびが聞こえると「退屈なの？」と気が気でない。
映画は1人が無難なのだ。
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『アバウト・ライフ 幸せの選択肢』で、ウィリアム・H・メイシー演じるサムは大きなポップコーンのバスケットを抱え、1人で映画を観ている。
そして彼の斜め後ろの席でこれまた1人で観ていたダイアン・キートン演じるグレースが声をかける。
「私の出る幕ではないけれど、悩んでいるようね？」と。
なぜなら、サムはスクリーンに映し出される老人の台詞に自分を重ね、号泣していたのだった。
2人は意気投合してモーテルへ……。
その同じ頃、サムの妻モニカとグレースの夫ハワードは高級ホテルのベッドの上で別れ話をしているという、あり得ない設定でこの物語は始まる。
モニカ役はスーザン・サランドン、ハワード役はリチャード・ギアである。
さらにあり得ないのは、サム夫婦の息子とハワード夫婦の娘が結婚するかしないかで揉めているという状況。
ただし、この映画はリアリティを求めるものではなくコメディなのだから設定は極端でも良いのだ。
しかし、ただゲラゲラ笑える話ではなく、自分の人生観・結婚観にちゃんと向き合ってみたくなる大人のコメディである。
それぞれのキャラクターの台詞にクスっと笑ったり、ニヤリとしたり、時々ハッとしたり……。
こういう映画は、1人で観るより気の置けない友人と一緒に観て、あとでお茶をしながらあれこれ語り合って楽しむものなのかもしれない。
それにしても、リチャード・ギアはシニアになってもチャーミング！
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ミシェルは恋人アレンとの結婚を望んでいたが、アレンは煮え切らない態度を続けていた。
2 人は親たちの経験から結婚生活について学ぶべく、両家顔合わせの食事の席を設けることに。
ところが、実はミシェルの父ハワードはアレンの母モニカと、そしてアレンの父サムはミシェルの母グレースと不倫関係にあった。
厳しい状況に追い込まれた親たちは、子どもたちに不倫の事実を隠しながらパートナーの愛人と対決を図ろうとするが……。
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監督・脚本：マイケル・ジェイコブス
出演：ダイアン・キートン、リチャード・ギア、スーザン・サランドン、エマ・ロバーツ、ルーク・ブレイシー、ウィリアム・H・メイシー
2023/英語/95 分/原題：Maybe I Do/字幕翻訳：長夏実
配給：AMG エンタテインメント
3 月 8 日(金)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMA ほか全国順次ロードショー
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公式サイト：https://aboutlife-movie.jp
