みなさま「おばんです」山形県出身の内藤美保がお送りする「きてみで(来てみて)東北」。この番組は東北各地の紹介と、東北弁で語る民話をお届けしています。
今回は山形県酒田市の山居倉庫を紹介しましょう。米どころ庄内酒田市のシンボル、山居倉庫は明治26年、旧藩主酒井家によって建てられた米保管倉庫で、北前船によるかつての繁栄ぶりがうかがえる場所です。米の積出港として賑わった酒田の歴史を今に伝え、NHK朝の連続テレビ小説「おしん」のロケーション舞台にもなりました。黒い屋根、白い壁の土蔵づくり12棟からなる倉庫群のうち、九棟は2022年まで農業倉庫として使用されていました。
設立当時は、二重屋根やケヤキ並木、天窓や換気窓の配置など、様々な工夫を施し空調管理を行っていました。二重屋根は、土蔵と屋根の間に空間を作って風通しをよくし、積み重ねた俵の熱の放散と、屋根からの伝導熱を防ぐ役割を果たしていました。土台にも湿気対策が施されており基礎として長さ5mの松の丸太が一棟につき46本も使われていて、その上に塩を3cm重ねていたそうです。また、ケヤキ並木は、日本海からの強い西風と夏の直射日光をさえぎり、倉庫内の温度を一定に保つ目的で植えられたもので、現在では見事な巨木となり、倉庫の屋根を覆っています。樹齢150年を超えるケヤキ並木の色合いは、季節とともに変わり、見る人を魅了します。山居倉庫は2021年に国指定史跡に認定された後翌年9月に129年の米倉庫としての役割を終えました。
現在も12棟の内の2棟は、酒田市観光物産館「酒田夢の倶楽(くら)」として利用されています。その中の「華の館」は、雅な文化が発達した酒田ならではの、色彩豊かな工芸品や展示物を楽しむことができます。「幸の館」では、お酒好きにはたまらない山形の地酒や、酒田の銘菓など山形の名物が豊富に取り揃えられていてお買い物や食事が楽しめます。倉庫群とケヤキ並木が織りなす風情ある街並みを、ゆっくりと散策したい大人の方におすすめのスポット山形県酒田市の山居倉庫を紹介しました。
ではここから、東北弁で語る民話をお送りします。今回は山形県で語られていた民話「天狗の生き針」です。
お話に出てくる「きかず野郎(やろ)」は「乱暴者」「あまりええごで」は「よろしい」「やんやんていた」は「大騒ぎしていた」という意味です。