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【とっておきシネマ】アメリカ映画『ティル』

そして今週のもう1本は、1955年にアメリカのミシシッピ州で実際に起きた黒人少年「エメット・ティル殺害事件」を初めて劇映画化した『ティル』。
この事件は、アフリカ系アメリカ人による公民権運動を大きく前進させるきっかけとなったそうです。

【STORY】
エメット・ティルは、母メイミーと祖母アルマに愛情深く育てられた。
1955 年 8 月。14 歳の彼は、生まれ育った平穏な北部の街を出て、黒人差別の激しい南部の街を初めて訪れる。
南部の恐ろしさを知らないエメットの明るく好奇心旺盛な態度は、南部の白人の怒りを買い、大きな悲劇を招くことになる。
エメットは白人夫妻が経営する飲食雑貨店を訪れた際、その妻に向けて調子よく口笛を吹いてみせたのだ。
それが引き金となり、エメットは白人集団にさらわれ、壮絶なリンチを受けた末に川に捨てられ、遺体は3 日後に発見された。
母メイミーは、この陰惨な事件を世に知らしめるため、常識では考えられないある大胆な行動を起こす。
そんな彼女の姿は多くの黒人たちに勇気を与え、一大センセーションとなって社会を動かす原動力となる。

帰らぬ息子への愛を胸に、たった一人で社会に立ち向かった母親の勇気と正義の物語の中、毅然としたメイミーの姿に心打たれる。
黒人差別の厳しい南部の街へ行く準備をしているエメットに、メイミーは「白人と接するときは小さくなってて」と伝える。
だが、平穏な北部の街で育ったエメットの「小さい態度」 は十分ではなかった……日本に住む私たちには想像できない恐怖だ。
メイミー役のダニエル・デッドワイラーは圧巻のパフォーマンスで、ゴッサム・インディペンデント映画賞など数々の映画賞で女優賞を総なめにしている。
泣き寝入りや沈黙を拒否し、「息子に何が起こったのか」を世に問うたエイミーの勇敢さを心から讃えたい作品。

監督・脚本:シノニエ・チュクウ
出演:ダニエル・デッドワイラー、ウーピー・ゴールドバーグ、ジェイリン・ホール ショーン・パトリック・トーマス、ジョン・ダグラス・トンプソン、ヘイリー・ベネット
2022 年/アメリカ/130 分/PG-12
配給:パルコ ユニバーサル映画 https://www.universalpictures.jp/micro/till
12月15日(金)全国公開 関西では、京都シネマ 大阪ステーションシティシネマ TOHOシネマズ西宮OSなど

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