毎週金曜日、夜9時からおおくりしている最新シネマ情報番組「とっておきシネマ」の鳥飼美紀です。
今週は、5月6日(金)から全国公開となる『オードリー・ヘプバーン』という作品をご紹介しました!
永遠の妖精オードリー・ヘプバーンの生涯を、秘蔵映像などを含めて振り返る初の長編ドキュメンタリーです。
映画ファン、オードリーファンならずとも釘付けになる内容……ということで、今週のとっておきシネマは丸ごとオードリー・ヘプバーン!
「ローマの休日」「ティファニーで朝食を」「マイ・フェア・レディ」「シャレード」などの名作を振り返りながらおおくりしました。
【REVIEW】
オードリー・ヘプバーンといえば、ほとんどの人がまずは『ローマの休日』を思い浮かべるだろう。
1953年製作、監督は巨匠ウィリアム・ワイラーで、アカデミー賞主演女優賞、脚本賞、衣装デザイン賞を受賞した名作。
ヨーロッパを周遊中のある小さな国の王女アンは、常に侍従がつきまとう窮屈な生活に嫌気が差し、滞在中のローマで大使館から抜け出す。
そして、偶然出会ったアメリカ人新聞記者ジョーとの、たった1日だけのラブストーリー……。
とにかくオードリー演じる気品と愛らしさに満ちたアン王女に、世界中の女性が魅了され、あこがれたのでは?
ラストシーン、王女がローマを立つとき、大勢の記者たちの前に姿を現し会見するシーンが印象深い。
王女が一人一人の記者と挨拶し握手を交わす。もちろん、ジョーとも……。
そして「ヨーロッパの中で特に印象に残った滞在地は?」という質問に「最も心に残るのは……ローマ」という言葉と表情が忘れられない。
オードリーは、この「ローマの休日」で、24歳にしてアカデミー賞主演女優賞を受賞。
今回のドキュメンタリーは、その受賞シーンから始まる。
その瞬間からスターへの道を駆け上がった彼女の生涯は、しかし、きらびやかさとは正反対のものだったようだ。
縁の薄かった父親との確執、辛辣な母からの影響で抱えたコンプレックスなど、愛に餓え苦悩を抱えていたオードリー
彼女のそんな“秘密”が少しずつ明かされ、そして晩年、生涯を捧げたユニセフ国際親善大使としての活動へと身を投じる姿が描かれていく。
秘蔵映像とともに、映画関係者や友人、数々の作品の衣装を担当したジバンシイのスタッフ、そして、オードリーの長男ショーン、孫娘のエマなどが彼女の真実を語る。
新たな驚きは多々あれど、少なくとも私の抱いていたオードリーのイメージは全く損なわれず、さらに素晴らしい人間性が加わった。
「愛されることより愛すること」を貫いた彼女の信念に、敬意と愛おしさを感じる。
そして何より、いくら見ても見飽きないオードリーの美しさ。
神様に選ばれた人というのはこのような美しさをまとっているのかと、つくづく思う。
作品の公式サイトには、4月24日に行われ試写会に登場した、ヘプバーンと親交が厚かった加藤タキさんのコメントが掲載されている。
オードリーからの直筆の手紙を披露し、加藤さんだからこそ知るオードリーの意外な素顔やエピソードを明かしている。
そんなタキさんもこのドキュメンタリー映画を見て、初めて知ることが多かったと語っている。
また、予告編のナレーションが、あの池田昌子さんというのが嬉しい!
テレビの名画劇場などでのオードリーの吹き替えといえば、池田昌子さんだった。
CMナレーションなどで彼女の声が流れると、オードリーの顔が浮かんでくるほどお馴染みの声だ。
ぜひ公式サイトもチェックしていただきたい。
監督:ヘレナ・コーン
登場するのは、オードリー・ヘプバーン、ショーン・ヘプバーン・ファーラー(オードリーの長男)エマ・キャスリーン・ヘプバーン・ファーラー(オードリーの孫)、クレア・ワイト・ケラー(ジバンシィの元アーティスティックディレクター)など
2020年/イギリス/100分/配給:STAR CHANNEL MOVIES
https://audrey-cinema.com/
5月6日(金)から全国公開
関西では、大阪ステーションシティシネマ シネリーブル神戸 TOHOシネマズ西宮OSなどで上映